山本の目は完璧にイっちゃっていた。その手は俺の胸をゆっくり撫で回し、やがて乳首に触れた。
「あっ……」
ピリッとした刺激が走る。指の腹でぐりぐり転がされると小さな疼きが走って、逃れようと思わず身を捩った。そんな俺を押さえつけた山本は、乳首にも舌を這わせた。
「……ぅ、」
くすぐったいような気持ちいいような、じれったい疼き。何度か舐め回した後、やはりそこにも歯を立ててきた。小さな乳首はちょっと顎に力を入れたら今にも噛み千切られてしまいそうで怖かった。怖いのに止めて欲しいのに怖いから身体が硬直して動けない。
山本は俺のベルトを外し始める。ズルリとジーンズを下着ごと下げられて、柔い下腹部を甘噛みされる。柔らかい部分から噛み千切ってやろうと、都合のいい場所を探しているみたいだ。膝辺りに絡まっていたジーンズも下着はやがてすっかり取り払われて、下半身丸出しの情けない格好にされてしまった。
「可愛い……」
呟いた山本はおもむろに俺の股間に顔を埋め、太ももの内側に噛みついた。
「いっ……!」
患部からじんわり広がる痛み。山本は一度噛んだ部分を二、三度甘噛みしてから、次は何とぺニスを口に含んだ。
「ひ……」
突然の刺激に俺はただ驚いた。柔らかくて熱くて嫌でも反応してしまう。山本の舌の動きは俺を気持ち良くさせるための動きで、その通り気持ち良くなってしまった自分に嫌悪感を抱いた。目を瞑って刺激に耐える。
と、今度は亀頭だけが口に含まれた。そして、ペニスの括れあたりに明らかに舌ではない、チクチクするような刺激が走る……まさか。俺はゆっくり目を開けて上半身を起こした。目を背けたくなるような光景がそこには広がっている。そして。
「……っ……!」
俺の思った通り、チクチクするような刺激は山本がペニスを甘噛みする刺激だった。そこを噛まれたら洒落にならない、マジで、死んじゃう。
「や……だ……!」
暴れて逃げ出そうとも思ったけれど、その拍子にガブッとやられたら堪らない。
「いい子だから、大人しくして」
山本は俺の太ももの裏に両手を差し入れて、ぐいと持ち上げた。隠しておきたい部分まで全て晒されて、恐怖と羞恥とで俺はついにベソをかいてしまった。
「な……んなんだよ、止めろよっ……!」
ジタバタ足を動かしたけれどそれは体格の差というやつで、容易に押さえ込まれてしまった。顔がぐっと近付いてきて、俺はひっ、と引き吊った悲鳴をあげて仰け反った。その喉笛を、山本はべろりと舐めた後にそっと歯を立てた。
「……っ」
死ぬ。噛み千切られたら、死ぬ。俺が抵抗すれば山本は俺の喉笛を噛み千切る。俺は死ぬ。身体中の血液が一気に下がった気がした。抵抗する気はすっかり失せていた。
山本の身体がゆっくり離れていく。ほっと息を吐いたのも束の間、今度は慣れない刺激が背中を這い上がってきた。
「ひゃ……ちょっ、や、嫌だっ!」
両足を胸に着くぐらい曲げさせられて姿を現した器官に、山本は何の躊躇いもなく舌を這わせ始めた。何で友達(しかも男)にそんなとこ見られてしかもベロベロ舐め回されなきゃいけないのか分からない。ぐいぐい中に押し込まれる柔らかい舌は甘い疼きを生み出した。身体の奥からせり上がってくるような、じんわりとした快楽。
「あ……や、やま……」
そんな恥ずかしいことをされて素直に気持ちよくなってしまっている自分が嫌だった。ペニスはすっかり熱を持って透明なカウパーを滴らせている。山本は指先でそれを掬い取ると、舌で解したそこに擦り付けた。
ここまで来れば山本が何をしようとしているのか、俺にだって分かった。送り狼。最後まで、って、そういうこと、だろう。食っちまいてーって、どうやら肉を噛み千切られるより先に、こっちの意味が先らしい。
山本はとっくに勃起した自分のペニスの先を俺のそこに押し付けた。ぬるぬると確かめるように滑らすと、一気に体重をかけてきた。
「ぐ……!」
引き裂かれるような痛みと熱。噛み付かれた時のじんわりとした痛みと違って、脳天まで突き抜ける鋭い痛み。アルコールと痛みとで、俺の思考は靄がかかったみたいにぼんやりしてきた。
「い……痛い、いたい」
堪えられない涙が目の端からボロボロ溢れた。鋭い痛みと、そこを無理矢理広げられた違和感で苦しい。山本はゆっくりと腰を奥まで進めながら、俺の肩口に顔を埋めて肩を甘噛みする。やがて一番奥まで挿入すると、俺の頬を優しく食んだ。
俺の顔を覗き込む山本は眉を寄せたちょっと色っぽい顔をしていて、ちょっとどきりとした。
「他の女とも付き合おうとしてみたけど、やっぱツナがいいんだ、でも俺ツナが好きすぎてどうしたらいいか分かんなくて食っちまいたくなる、ごめんな、痛いな、ごめん」
熱に浮かされた声で呟きながら山本は俺を目一杯抱きしめる。骨がギシギシ軋む。今の山本は俺が知ってる山本とは別人みたいだ。一緒にいたら身体をぶっ壊されて殺されてしまうんじゃないだろうかと思う。山本が首筋に歯を立ててきた。歯が皮膚に食い込む感触。殺される。背中の辺りから奇妙な感覚が這い上がってきて、睾丸がきゅうとなった。変な感覚。山本は食べる前に獲物で遊ぶ肉食獣みたいに、顎の力を強めたり弱めたりしている。ぎりと歯が強く食い込む度に背中に産毛を撫でるような感覚が走って気持ち悪い。
不意に、ぐ、と、強く噛まれた。
「いっ……ぐ、ぁ、痛、や、だ、あっ」
同時に山本が注挿を始めた。引き裂かれ傷口をえぐられる痛みに思考が真っ赤に染まる。噛みついた首や肩の痣を舐め、そうかと思えば引き千切る勢いで歯を立てる山本が怖い。殺される。食べられる。痛い。死ぬ。背中がぞくぞくっとなった。気付いたら股間がやけに熱くて、痛みで一度萎えたはずなのにいつの間にか勃起していた。山本が俺のペニスを乱暴に掴んで、カウパーを垂れ流す尿道口を指でぐりぐり刺激する。いつもならただ痛いだけの強すぎる刺激。何も考えられなくて俺はただ泣きじゃくった。ぱくぱくしている尿道口をぐちぐち弄られてそこも犯かされたら俺はおかしくなる。無理矢理抉じ開けられて爪を立てられて乱暴に犯されて背中のぞくぞくが身体中に回って、山本が俺の肩を思いっきり噛んで痛くて、あ、と思ったときには射精していた。山本はイく直前にペニスを引き抜いて、俺の腹に精液をぶちまけた。
〆
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